「スピードキュービングのaverageとmeanの違いって何?」
と思う方が多いと思うので、今回はその違いについて解説します。
算出方法が違う
averageとmeanはどちらも「平均」という意味で使われますが、サンプルの取り方が違います。
簡単に説明すると「数値の散らばりを考慮しないのがmean」「数値の散らばりを考慮したのがaverage」です。
meanの算出方法
全サンプルの数値を足して母数で割る、単純な平均です。
算術平均とも呼ばれます。
試技 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 |
---|---|---|---|---|---|
タイム(秒) | 11.00 | 10.00 | 8.00 | 16.00 | 10.00 |
このような記録の場合であれば
(11.00+10.00+8.00+16.00+10.00)/5=11.00
となるので mean は11.00秒です。
5回計測しているので「mo5(mean of 5): 11.00」のように表記されます。
averageの算出方法
全サンプルのうち上位5%と下位5%(小数点以下切り上げ)のサンプルを排除した残りの平均です。
試技 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 |
---|---|---|---|---|---|
タイム(秒) | 11.00 | 10.00 | 8.00 | 16.00 | 10.00 |
このような記録の場合、最も速いタイム1回分(上位5%)と最も遅いタイム1回分(下位5%)を排除した残り3回分の平均を出します。
(11.00+10.00+10.00)/3=10.33
となるため average は10.33秒です。
5回計測しているので「ao5 (average of 5): 10.33」のように表記されます。
仮に100回計測した場合は、最も速いタイムから5回分(上位5%)と最も遅いタイムから5回分(下位5%)を排除した残り90回分の平均を出す、ということになります。
DNF(無効記録)の許容範囲
パズルを解いているとアクシデントによりDNF(無効記録)になる場合があります。
「mean」は1回でもDNFがあると平均記録は残りません。
「average」はDNFの回数が5%以内(小数点以下切り上げ)に収まれば平均記録は残ります。
average of X | ao5 | ao12 | ao50 | ao100 |
---|---|---|---|---|
DNFが許容される回数 | 1回まで | 1回まで | 3回まで | 5回まで |
例1)5回のうち1回DNFだった場合
試技 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 |
---|---|---|---|---|---|
タイム(秒) | 11.00 | DNF | 8.00 | 16.00 | 10.00 |
「mean」による記録は無効(mo5: DNF)
「average」による記録は有効(ao5: 12.33)
例2)5回のうち2回DNFだった場合
試技 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 |
---|---|---|---|---|---|
タイム(秒) | 11.00 | DNF | 8.00 | DNF | 10.00 |
「mean」「average」ともに記録は無効(mo5: DNF、ao5: DNF)
なぜ使い分けているの?
ではなぜ大会や記録会では「average」と「mean」を使い分けるのでしょうか。
理由は主に2つ考えられます。
WCA大会(公式大会)のラウンド形式一覧表
average of 5 | mean of 3 | best of X |
---|---|---|
3×3×3 2×2×2 4×4×4 5×5×5 3×3×3片手 クロック メガミンクス ピラミンクス スキューブ スクエア1 | 6×6×6 7×7×7 3×3×3目隠し 4×4×4目隠し 5×5×5目隠し 最小手数 | 複数目隠し *3×3×3目隠し *4×4×4目隠し *5×5×5目隠し *最小手数 |
※開催大会による
参考:WCA大会規則(第9条:競技種目)
運の影響を軽減するため
2×2や3×3、ピラミンクスなどの比較的簡単なパズルでは、どうしても運の影響が大きくなります。
運の影響が大きいパズルや競技では「average of 5」、運の影響が少ないパズルや競技では「mean of 3」が使われていると考えられます。
タイムスケジュールに収めるため
「average」では5回計測をしますが「mean」では3回計測して平均記録を出します。
そのため時間のかかりやすいパズルや競技では「mean」が使われていると考えられます。